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芸術作品の一部になる

森村泰昌氏の作る「戦場の頂上の旗(仮題)」という映像作品のエキストラをしてきた。この作品はクリント・イーストウッドが監督した「父親たちの星条旗」でもテーマとなったこの有名な写真をモチーフにしたものだそうだ。しかし、テーマとなる写真とマリリン・モンローがどうつながるのかよくわからない。今回エキストラをしたのは草月ホール。ホールでたくさんの観衆が森村氏の演ずるマリリン・モンローのピアノ演奏を聞くシーンを撮影する。その観衆のひとりになってきた。

松蔭浩之氏の司会で始まり、「能のような幽玄な雰囲気を作れ」と指示され、森村氏の登場を待つ。背景には映像が流れる予定のスクリーンが準備されていた。カメラが回ると森村氏が登場してピアノを演奏し始める。曲はまったくの即興のようだった。おそらく森村氏はピアノを普通には弾けないのだろう。氏のBlogには「私は楽譜が読めないから譜面があっても意味がない」と書かれている。ところが、氏が適当に弾くその曲は、なんとなく現代音楽のように聴けなくもないから驚きであった。鍵盤を打楽器のように扱っていた。

背景に流れた映像は、最初にどこかの大学の講堂が映し出され、そこに森村氏のマリリン・モンローが登場する。そして、たくさんの学生と思われる人たちが見ている中、一段高いところにモンローが立つと、下から風が吹き、地下鉄からの風でスカートがまくれる「七年目の浮気」の再現となる。それを見て思わず吹き出しそうになるのだが、必死にこらえて幽玄な雰囲気を作ってきた。

弾いていた赤いピアノは、暗い中に置かれていたときはセットで作られたピアノの模型かと思ったが、説明によるとベーゼンドルファーというピアノで、ジョン・ケージや武満徹も弾いたというすごいものなんだそうだ。

普通であれば、譜面も読めない音楽の素人が弾ける楽器ではないだろう。ところが、森村泰昌という芸術家が、作品の制作のために弾くのであれば許可される。この不思議さが芸術とか美術の凄さだろう。できあがった作品がいったいどんなもので、なぜそこにお金が投資され、どうしてそれに多くの人が興味を持つのか、その秘密を知りたい。でもきっと、さしたる秘密もないのかもしれないけど。その楽しさというか、不思議さというか、はちゃめちゃさというかが、きっと森村氏の持ち味なのだろう。本人はきっと「そんなことはない」というのだろうけど。いや、ひょっとしたら「その通り」と飄々と言うのかもしれない。

制作された作品は個展「森村泰昌 なにものかへのレクイエム」で公開予定。会場と会期は以下の通り。

東京都写真美術館 2010年3月11日(木)~5月9日(日)
豊田市美術館 2010年6月~8月
広島市現代美術館 2010年10月~2011年1月
兵庫県立美術館 2011年1月~4月

できあがりはどうなっているんだろう? 実際に使われるのはほんの数秒とか。

このようにエキストラに使われ、告知のBlog記事も用意してしまう僕は、森村マジックにやられたようだ。

「森村泰昌」芸術研究所

One Comment

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