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象の耳

何年か前にFRANS LANTINGの写真集「EYE TO EYE」を買った。滅多に写真集は買わないのだが、この写真集はすぐに買ってしまった。いろんな動物の目を中心にして撮影された写真集だ。どの眼も、自然の中で生きている喜怒哀楽が写されている。獲物を追う眼、哲学的な眼、優しい眼、呆けている眼。どの眼も確かに生きている眼をしている。その眼を見るだけで、僕は元気になれる。これを見ると、またいつか、どこかの国の動物に会いに行きたくなる。

最新号の「風の旅人」に「象の耳」という記事がある。大西成明という写真家が撮った、動物園の動物たちの写真が掲載されている。檻のすき間からこぼれる光に照らされた動物たちの写真だ。その眼は虚無を見つめているようだ。どこにも行けず、コンクリートと鉄枠に囲まれた存在。この写真は「好き」とは言いたくないが、とても惹かれる。今の動物はみんなこうなのかもしれないと思わされる。生息域を奪われ、唯一安心して生きていられるのが檻の中。走る喜びも、歌う喜びも、狩りをする喜びも奪われ、ただ単に安全に生きていられる。そう書いてふと気づく、いまの人間のようでもあるのではないかと。

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