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引っ越しの思い出

村上春樹の『やがて哀しき外国語』を読んだ。終わりの方にアメリカでの引っ越しは、引っ越し業者がルーズなので大変だという話が出てくる。それを読んで思いだしたことがある。

1994年、父の病気が重くなり、病院の送り迎えをしなければならないというので、一人暮らしのビルから実家に引っ越すことになったとき、カル●モという名前の引っ越し業者に引っ越しを頼んだ。混んでいて午前の作業は無理だが、午後一時、遅くとも二時にはトラックがくるということだった。ところが、二時になっても、三時になっても、ついには七時になっても来ない。その間、何度か会社に電話をしたが、判を押したように「もう少し待ってください」としか返事がない。実際にトラックが来たのは午後11時だった。夜中の11時から引っ越しを始めるというのはあまり世間体が良くない。まるで夜逃げだ。恥ずかしい思いをしながら引っ越しが終わったのは夜中の午前1時だった。

実際に引っ越しをした業者も、前の引っ越しが長引いて大変だったのだろうけど、こっちとしては夜中の1時に実家に引っ越していくというのは考えられない状況だった。母が「なんでこんな深夜に引っ越しするのよ」と僕を責めるが、僕もそんなつもりはなかった。切ない引っ越しになった。

以来、街でカル●モのトラックを見かけると、引っ越しの話題が出ると、転居のことについて相談を受けると、そのときのことを思い出す。

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