2月

11

A3

紙の大きさではない。
森達也さんのオウム真理教に関するノンフィクションだ。
「A」と「A2」というオウムに関するドキュメンタリー映画を撮影した森さんだが、「A3」を途中まで撮影してやめ、ノンフィクションを月刊プレイボーイに連載した。
それが出版され、講談社ノンフィクション賞を受賞し、その作品を出版から十年以上過ぎてここで無料公開し始めた。
https://note.mu/morit2y/n/nde972b9f0eac
よっぽど伝えたいことがあるようなので、文庫の上下巻を買って読んでみた。
面白かった。
断片的に知っていることがまとめられているから読んでいて興奮する。
なぜ裁判を「どうしてサリンを撒いたのか」など、わからないことをたくさん残しながら、松本智津夫(麻原彰晃)の精神状態が明らかに裁判を続行できる状態ではないのに、無理矢理続行して終わらせてしまったのか。
なぜそのことについてマスメディアはほぼ沈黙してしまったのか。
謎に対する答えがある訳ではない。
ただ、はっきりとした視点を得ることになる。
オウム真理教の教団内では松本に対する忖度が行なわれていたようだが、その状況を丁寧に読んでいくと、現在の日本の状況に似ているのではないかとぞっとする。
オウムの残した歪みがフラクタルのように社会に広がっているのではないか?
窮屈な現在の状況から目を覚ましたい人は読むべき。

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