5月

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江戸川乱歩全集の横尾忠則の挿絵

昭和44年に刊行が始まった講談社発行の「江戸川乱歩全集」の1、4、7、10巻に横尾忠則の挿絵が入っている。
僕が小学生の頃、父が買ってくれた。
「少年探偵団」とか「怪人二十面相」とか、そういうのが来るのだとばかり思っていたら、大人向けの濃厚な、エログロと言ってもいいような作品が15巻もやってきた。
小学生にこんなの読ませていいのだろうか?と思うような作品たち。
それを少しずつ読んでいった。
小学生には理解不能な作品が多かった。
それでも僕は『二銭銅貨』という比較的穏やかな作品を漫画に描いたりしていた。
その第一巻の横尾忠則の挿絵がとても怖かった。
「白昼夢」の挿絵も怖かったが、一番ぞっとしたのは「屋根裏の散歩者」の挿絵だった。
屋根裏にいる男が描かれているのだが、それがなんとも妖しい。
それがどのように妖しいのか、僕にはうまく書けない。
主人公らしい男の、目が少し寄っていて、口元の歯の間からよだれが垂れている。
だけど、その絵の奇怪さはそれに因ったものではない。
横尾忠則独特の色の濃くてのっぺりとした絵と、絵の上部にある花の写真のコラージュ、そのアンバランスから来るのかもしれない。
そのなんとも形容しがたい気味悪さに、何度も絵を凝視した。

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