5月

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鯉のぼりが欲しかった

最近では個人宅で鯉のぼりを上げているのは見かけなくなったが、僕の幼い頃にはぽつぽつとそういう家があった。
青空にたなびく鯉のぼりを見上げては「いいなぁ」と思っていた。
だから、幼稚園や小学校で紙製の小さな鯉のぼりをもらっても「なんだかなぁ」と思っていた。
でもそのことを誰にも言わなかった。
両親が聞いたら落胆するだろうし、誰も喜ぶことはなくて、悲しむだけだろうから。
だからいまだに鯉のぼりを見上げるとその感情を思い出す。
あるとき友人が酒を飲んでいて「鯉のぼりが欲しかった」と話すのを聞いて、溜飲が下がる思いがした。

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