7月

25

「簡単」という言葉について

昨日、「第九のスコアは簡単」と書いたが、その言葉がどうも魚の骨が喉に刺さったように気になる。
それはたとえば、プロの指揮者にとっては「簡単」という訳ではないから。
僕のように気楽に聞いている人にとっては「簡単」で済むが、演奏する人にとってはきっと簡単ではないはずだから。
特に第九は名曲だ。
多くの人に何度も聞かれ、曲の解釈によって褒められもするがけなされることもあるだろう。
その難しさは実際に演奏した人でないと理解できないかもしれない。
もし理解したとしても、それを言語化するのが難しい。
この難しさは言葉の難しさであり、人間の心や認知の問題に関わってくる。
一方で、その難しさのおかげで、感動は大きくなる。
演奏によって心が震えるのは、きっとこの難しさを乗り越えてきた情熱が音となって伝わるから。

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