あなたを選んでくれるもの
友人を偲ぶ会の準備をしていて、些細な問題が起きた。
同時に、相談事があってどう解決していいかわからない。
書かなければならない原稿が締切を過ぎてしまった。
煮詰まった。
何をどうすればいいのかよくわからない。
そこで、逃避をした。
ミランダ・ジュライの『あなたを選んでくれるもの』を読んだ。
少し前に買って、部屋の片隅に積んでおいた本の一冊。
なぜこの本を選んだのかはわからない。
これが良さそうという匂いがした。
昼食のあと、喫茶店で読んだ。
三時間ほどで読み切った。
何に引き込まれたのか、明確には書けない。
だけどとても引き込まれた。
この本一冊が逃避の話だった。
映画の脚本を書いていたミランダは、もうほぼ完成という段階で逃避をする。
はじめはネットをサーフィンして時間をつぶすが、あるときポストに入っていたフリーペーパーを読みだす。
そこには「こんなものを売ります」という広告が出ている。
そういう広告を出している人に連絡を付け、会ってインタビューを始める。
映画のネタ集めと称しての逃避。
ミランダが想像していなかったいろんな人と出会う。
何人かに会い、これでインタビューはもうやめようと思って会った最後の人。
その人に執筆していた映画へ出演してもらうことになる。
訳もわからず感動した。
喫茶店でウルウルするのを我慢した。
読み終わってウチに帰ると、問題と思っていたことはたいしたものではなくなっていた。