2月

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秩父遥拝

今朝、テレビをつけたら矢野顕子が民謡を歌っていた。
なんかいいなと思っていたとき、ふと「秩父遥拝」を思い出す。
笹久保伸さんが秩父の機織り歌やまりつき歌、雨乞いの歌などを集めてアルバムにしたもの。
もう歌われなくなってしまった歌ばかり。
笹久保さんは「秩父前衛派」というアート集団を主宰している。
武甲山の破壊をやめろと訴えながら、さまざまなアート活動をしている。
武甲山は石灰が産出されるのでセメント会社が掘り続け、山の形が変わってしまった。
毎年秩父夜祭で人々はその山を祀る。
秩父の町を潤すためにやせ細った山。
笹久保さんは「おかしいだろう」と訴えながら、いまはもうほかでは聞けない歌を声を絞り出すように歌うとき、隠されてしまった魂たちが咆哮を始める。
失われた山容、鉱石、泉、草花、動物、古事記の時代から伝わってきた物語や祀られた神々。
あなたには聞いてほしい、その咆哮を。

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