3月

5

お湯待ち

朝起きてトイレに行く。
見た夢を反芻する。
モデルの女の子が和服を着て立っていた。
なんの夢だろう?
頭を掻きながらトイレから出て、コーヒーを淹れることにする。
コーヒードリップケトルに水を入れ、コンロにかける。
カップにドリッパーをセットして、紙フィルターを載せる。
コーヒー豆を電動ミルで砕く。
フィルターに砕いたコーヒー豆を入れてお湯待ち。
カップ二杯程度の水はすぐに湧くので、立ったまま待つ。
水がふつふつしてくるのと一緒に、見た夢もふつふつしてくる。
夢の中でモデルの女の子が何を考えているか感じていた。
男が近づくとモデルは倒れかかった。
そのときの感覚。
男はモデルにつかまれて立たせる。
「平気ですか?」
「はい」と言ったときの感情の動き。
「服が乱れてしまったので、直してもらえますか?」
「いいよ。両手を横に伸ばして」
女は両手を横に伸ばして男の目を覗き込む。
男は女の帯を解いて着物を直し、また帯を結ぶ。
「これでいいかい」
「お食事に連れて行ってもらえませんか?」
「いま?」
「はい」
「あいにくいま持ち合わせがない」
「じゃあ今度」
ふと、ふたりの感情が両方とも、手に取るようにわかったことに気づく。
言葉の間にある一瞬の感情。
どちらの感情もここにあることが不思議なことだと、湧きつつあるお湯を眺めながら知る。
「不自然な夢だ」
きっと僕が非二元なんてことを考えているから、夢がそれに合わせてくれたのだろう。
夢はそのくらい自由なものだと教えられた気がする。
しゃらくさい夢だ。

Comment Feed

No Responses (yet)



Some HTML is OK

or, reply to this post via trackback.