6月

28

じょうよまんじゅう

和菓子屋さんで「じょうよまんじゅう」を買った。
うちに帰って相方と食べようとして「じょうよまんじゅう」と言ったら、相方が「じょうようまんじゅうでしょう」という。
「いや、じょうよまんじゅうだよ」
「いや、上に用いると書いて上用饅頭だよ」と言い争う。
結局、どちらも間違いではないことがわかる。
じょうよまんじゅうの「じょうよ」は「薯蕷」と書き、大和芋、山芋、つくね芋たちを「薯蕷」と呼び、それらを饅頭の皮に用いたものを薯蕷饅頭と呼んだそうです。
一方で「上用饅頭」は、高貴な人が食べるお菓子ということで、かつて高級な饅頭をそう呼んでいたことがあるとか。
勉強になりました。

6月

19

かき氷

ある時、ある場所にアンティークな雰囲気の喫茶店があった。
その店に入り、ブレンドコーヒーを頼んだ。
若い女の店員がコーヒーと一緒に小さなかき氷を持ってきた。
「これは?」
「サービスです」
女はカウンターの中に戻って行った。
そのかき氷は、氷がフワフワで、食べたことのない味がした。
カウンターの向こうにいる店員に聞いた。
「これは何のシロップですか?」
「お客様はこの店ははじめてですよね」
「はい」
「次にいらしたときにお教えします」
ちょっとムッとした。
なぜいま教えてくれないんだ。
きっとこれはお店のプロモーションの手法なのだろう。
その手に乗るか。
二度と来ないと心に決めた。

あれから三年が過ぎた。
いまだにあの店の雰囲気とかき氷の味が忘れられない。
再びアンティークな雰囲気の喫茶店に来た。
前と同じ席が空いていたのでそこに座った。
若い男の店員がやってきた。
ブレンドコーヒーを頼んだ。
しばらくしてコーヒーだけがやってきた。
店員に質問した。
「あの、かき氷は?」
男は「かき氷?」と復唱し、「うちには置いていませんよ」という。
「三年ほど前にここでコーヒーを頼んだら、サービスですとかき氷が出てきたんですけど」
「うちではないでしょう。この店を僕は五年ほど経営していますが、カキ氷なんて出したことがありませんよ」
言葉を失った。
男は「ごゆっくり」と言って
カウンターの奥に消えた。

6月

10

広東あんかけ汁そば

ある中華料理屋さんで、広東あんかけ汁そばを食べた。
具がいっぱい入っていて、嬉しかった。
麺より具の方が多かった。
覚えているだけでも、エビ、鶏肉、小松菜、絹さや、ネギ、しめじなどが入っていた。
いちいち確認しなかったので、もっといろいろと入っていたと思う
麺は細めで歯応えが良くてうまかった。

6月

7

進化論

もし進化論が正しいとするなら、どんな動物もどこかで繋がっていて、たまたま選択が違っただけで違う動物になっているのだから、いわば遠い親戚のようなもので、もっと仲良くするべきだろう。
そうは思っても肉を食べるのをやめるのかと問われると躊躇する。
友達には「だから肉は食わない」という人が何人かいる。
だけど「肉食べたから人間になれたんだよな」とも思う。
肉食べるとなんか嬉しいし。
仏典を読むのは好きだけど、仏教徒にはなれそうにない。
こんなことを考えて気持ちいいのか?
考えないよりはましな気がする。

5月

27

アスパラガス

北海道から届いたばかりのアスパラガスをいただいた。
軽く炒めて食べた。
柔らかくて香り高くて美味しい。
鮮度が大切。

5月

15

山形のだし

「山形のだし」が何を意味するのか、十年ほど前に知った。
ご飯にのせるととてもうまい。
健康にもきっといいだろう。
でも、きちんと作るのはちょっと大変。
がごめ昆布をどうやって入手するのかがわからない。
なので代用品を使うことになる。
先日、カルディ・コーヒーに寄ったら、「山形だしの素」が売られていたので早速購入。
美味しかったけど、がごめ昆布のぬるぬる感はなかった。

4月

24

極太アスパラガス

極太アスパラガスをいただいた。
きっと大味なんだろうと思った。
見た目はぶっとい。
スジが硬いのではないだろうか?
頭をよぎる。
水っぽくて味はしないのではないだろうか?
口には出せない。
そもそもアスパラガスは、細くて繊細な味。
こんなにでっかいとどうなるのだろう?
大きいのは硬くて食べられないとどこかで聞いたような気がする。
細いアスパラガスも、茎の太い部分は硬かったりする。
でも、これはおいしいんだと説明される。
本当かよ?
一口齧る。
思ったよりずっと柔らかいし、みずみずしさの中に浮かび上がる味も香りも良かった。
またいつか食べたい。

4月

3

麻ひしお

昔、もう30年以上前。僕が会社員だった頃、サンフランシスコへワークショップに参加しにいった。
6日間山にこもり、いろんなことをする。
高い崖からロープ一本で降りたり、何キロもの距離をワイヤーを張った滑車にぶら下がって滑り降りたり、普段できできないようなことをした。
そのワークショップでは食べるものにほとんど調味料が使われず、結果として塩分がほとんど入ってなかったし、味も素材自身の味しかしなかった。
そういう食事を6日間してサンフランシスコに戻ったとき、街で食べる食べ物の味がきつかった。
味の付けすぎ、香りの付けすぎ、コーラは飲もうとして吹いてしまった。
それ以来、僕の味覚に以前とは別の枠組みができた。
味が美味しいというよりは、からだに良さそうという区別。
それを感じることは滅多にない。
次にそれを感じたのは、キヨズキッチンがオープンしたとき。
久しぶりの感覚が嬉しかった。
その感覚をひさしぶりに思い出した。
それが「麻ひしお」を食べたとき。
「手打ちそば くりはら」でそれを食べた。

3月

15

ポトフを作る

お鍋に水を入れ、火にかけながら適当に切ったジャガイモ、ニンジン、タマネギ、キャベツ、それにベーコンを入れる。
僕の好みはそこにカルダモンを一粒、鞘から出してすりつぶしてパラパラとかける。
沸騰させてから極弱火にしてコトコトと20分ほど煮る。
最後に塩と胡椒で味を整えて出来上がり。
ムフフ。

2月

28

あご出汁で素うどん

福岡であご出汁のパックを売っていたので買った。
水にパックを入れて煮出す。
いい香りが漂う。
そこに醤油を少しと塩を足し、うどんを入れて素うどんにする。
うまかった。

2月

19

島々のバニラ

先日、「島々のバニラ」という紅茶をいただいた。
バニラのフレーバーがふわっと香る。
ミルクを入れて、お砂糖を入れて飲みたくなった。
名前が泣かせる。
20年前にはバリ島で、安くて香りの高いさや入りバニラビーンズが手に入った。

2月

5

かりんとう

かりんとうといえば、黒くて芋虫のような形をしているものと思っていたが、最近のは丸かったり、味が色々あったり、昔知っていたかりんとうとは違うものがたくさんある。
歯ごたえも違う。
サクサクしたのが好き。

2月

4

鍵善良房のくずきり

蓋の上には鍵の絵。
江戸時代にどこかの寺社の鍵を預かっていたという。
はじめて鍵善にうかがったときに聞かせてもらった。
以来鍵が店舗のアイデンティティーとなり、鍵善良房となったとか。
もう30年以上前に聞いた話なので、微妙に違うかもしれない。
申し訳ない。
ここのくずきりは絶品で、ここでしか食べられないので、京都に行くと食べたくなる。
京都にいるという友人とSNSでやりとりしたときに、「鍵善のくずきり食べたい」と書いたら、「行くつもり」だという。
いいなぁ。
上の段には黒蜜、下の段には氷で冷やした葛切りが、たゆとうている。
フルフルとからだをくねらすくずきりを箸で掬い上げ、黒蜜に浸け、絡んだ頃合いでチュルッとすする。
黒蜜の味と香りが口から鼻に抜けた頃には、官能的な舌触りに溺れている。
そして、あの噛み心地。

1月

22

泥炭(ピート)

「イニシェリン島の精霊」でアイルランドを思い出すと、泥炭のことも思い出した。
アイルランドをバスで移動したが、何もない土地が続いた。
そういう土地の多くでは、短い草が生えてはそれが冷やされて、泥炭ができるのだそうだ。
泥炭は、ピートとも呼ばれる。
ウィスキー好きは「ああ、あれね」と思うだろう。
あれがたくさんある土地が続く。
なのでピートの香りが効いたウィスキーを飲むと、アイルランドの荒涼とした風景を思い出す。
少し傾いた頼りない電柱に、ゆるく張られた電線が風に揺れていた。
泥炭を燃料に使っている家からは、先端が四角い、独特の形状をした煙突が突き出ていた。

1月

19

こぢんまりとした喫茶店

個人で開業しているこぢんまりとして居心地の良い喫茶店が好き。
そういう喫茶店が少なくなったように思う。
そういうところを見つけては通う。

12月

9

昔ながらのプリン

なめらかなプリンも、プッチンプリンも美味しいけれど、昔ながらの少し硬めのプリンが好き。
茶碗蒸しのように加熱して作って、冷やして、カラメルをちょっとかけたやつ。
加熱の具合によって時々プリンの中に泡が入ったりしていると、「ちゃんと作っているな」とかえって嬉しくなる。
そういうプリンを見つけては、食べに行く。

12月

5

電動ミルと手回しミル

30年くらい使っていたコーヒー豆用電動ミルが故障した。
スイッチを押しても動かない。
それで、以前使っていた手回しミルを出した。
相方が埃のつかないようにラップでくるんで保存していたのですぐに使えた。
同じブレンドの豆を挽いて淹れても電動と手回しでは味が違う。
こんなに微妙なものなのかと驚いた。

11月

21

ファミレスからカフェへ

かつてファミレスだった場所がカフェになったり、ファミレスの規模のカフェができたりしている。
確かにファミレスはカフェ的な使われ方がされていた。
レストランとして存在するより、カフェと割り切ったほうがいいのかもしれない。
しかも、カフェだと思うと、少々待たされても気にならない。
それで店員数を減らして、採算を上げるんだろうなと思う。
カフェなら少々長居しても許されるだろう。
でも、客単価が下がるよな。

10月

18

鳴門天然鯛焼き

天然物の鯛焼きだという。
なにが天然?
一丁焼きでパリッとしているとか。
食べると確かにおいしい。
麻布十番の浪花屋の鯛焼きを思い出す。

9月

14

ライムジュースでムフ

ちょっと遠い酒屋さんにライムジュースを買いに行った。
ライムを搾っただけの、そのまま飲むと酸っぱいやつ。
それに炭酸水を足して飲むのが好き。
でも、ライムジュースごときにウキウキしていては恥ずかしいので、落ちついたふりをして店に入る。
その酒屋には葉巻も置いてある。
葉巻からの「買えよ」という誘惑の視線。
久しいこと吸ってないので吸いたいが、我慢。
ライムジュースを手に取りレジへ、何事もなかったかのように。
外に出てガッツポースをしたいがガマン。
ムフフと喜びたいが「ムフ」くらいにしておく。

6月

19

かみしめてわかる味

食べてすぐおいしいと思うものはたいしたことがない。
ところが、何度も食べて、噛みしめて、しばらくたってからおいしいと思うものは、底力がある。
最初の一口はおいしいかどうかわからなくても、二口三口と食べるうちにいいかもと思うようになり、それでもおいしいかどうかはわからなくても、あとでまた食べたくなる。
我慢できずしばらくしてもう一度食べなおすと、はじめてはっきりとおいしく感じるその味。
もうすぐとりこだ。

6月

16

バジルの花

鉢植えのバジルに花が咲いた。
小さな白い花だ。
毎年、葉をむしられて、カプレーゼやジェノベーゼソース、はたまたパスタに載せられたりしているのに、恨み言ひとつ言わずに可憐に咲いている。
ありがとう。
僕のからだの一部は、君でできている。

6月

5

豆を煮る

ミックスビーンズサラダを作るのに数種類の豆を煮た。
半日水を吸わせてから熱湯で20分程度。
煮え具合を確かめるのに食べるとそれだけでおいしい。
味をまだ何も付けてないんだけど。

6月

1

団子カフェ

最近、よく団子を食べる。
今日は相方が新宿の追分団子を買ってきてくれた。
食べる度に思うのは、もしこれが焼き立てだったらもっとおいしいだろうなということ。
団子がアツアツで、表面がパリッとしていて、中身の固さにもこだわり、そこに餡が絡む。
持ち帰り店舗で焼き立てを提供するのは難しいかもしれないが、カフェのようにして焼き立てを待って食べられたらいいような気がする。
味は、甘い団子ばかりではなく、塩っぱいの、辛いの、香ばしいのとあったらいい。
お酒に合うものもあったらいいなと思う。
インスタ映えも考えて、色とりどりの団子を用意する。
お茶にもこだわりたい。

5月

20

のどぐろの煮干し

鎌倉を散歩していたときに乾物屋さんを見つけた。
豆や鰹節、煮干しなどが売られている。
昔ながらの乾物屋さん。
通販もしているというのでカタログをもらって帰った。
そこにのどぐろの煮干しが載っていた。
相方がさっそく取り寄せる。
普通の煮干しより大きいので、味噌汁を作るのに一匹使ってみた。
頭を取るとおなかの中は真っ黒。
さすがのどぐろ。
水に浸けてしばらく置き、沸騰しないように煮て、豆腐とワカメの味噌汁にする。
ムフフ。
鼻孔が広がる。