6月

1

もうすぐ5000回

日刊 気持ちいいものが、もうすぐ5000回になる。
普通に考えれば嬉しいところだが、あまり嬉しくないのが本心だ。
5000回の頃に何か個展のようなイベントをおこなおうと思っていた。
その準備を四年くらい前から始めていたが、一昨年の末に体調を崩して入院してしまった。
個展の準備は頓挫した。
ここ数日、日刊 気持ちいものが書けない理由はそこにあると思い、ここに吐露する。
自分がやると言っていたことができないことはとても気持ちが悪い。
これからも気持ちいいものを書き続けるためにこれを書いた。
失敗の宣言だ。
5000回を超えて、一万回を目指す。
精神の変容を見つめるために。

5月

17

海鳴り

久しぶりに茅ヶ崎に行った。
少し海が煙っていたけど烏帽子岩が見えた。
波の音とともに低い海鳴りを聞いた。
媒体を通すと聞こえないような音。

5月

13

ゆらゆら揺れるキャンドルの火

バリ島では足元を照らした。
アイルランドの教会では、礼拝に来た人たちが祭壇に命を吹き込んだ。
震災後の福島では、祈る人たちがグラウンドに並べて文字を書いた。
どれもゆらゆらと揺れるキャンドルの火で。
そこには何かが宿る。

5月

9

配牌前の雑音

夜にベランダで静寂を聞く。
昔の夜はもう少し雑音があったような気がした。
どんな雑音かと思い出す。
夜に住宅街を歩いていると、どこかから麻雀の牌を混ぜるジャラジャラという音が聞こえた。
最近は聞いてないなと思う。
自動で静かに配牌されてしまうからかな?

4月

28

PLAN75を見て何を思った?

前にも出た「昼間でも聴ける深夜放送KombuRadio」に出てきました。
今回のお題は「PLAN75を見て何を思った?」。
去年公開された「PLAN75」という映画はご覧になりましたか?
それがテーマで話し合おうというので、見ました。
アマゾンプライムにあります。
すごい映画ですね。
あなたは何を思うのでしょう?
https://youtu.be/59QMebWRfJ4

4月

25

理解の残渣

僕たちはいろんな理解をしている。
もちろん理解し合えて得られた解は貴重なもの。
だけど、理解しきれなかった残渣のようなものの中にも大切なものはある。
それを表現するのは難しいけど感じ育てたい。

4月

23

芝生に寝転ぶ

芝生にピクニック用のシートを持ち込み寝転ぶ。
枕はショルダーバッグ。
青い空に白い雲。
鳥が飛ぶ。
風が吹く。
日に照らされて暖かい。
まどろむ。
いい夢を見る。

4月

10

ウグイスの声

ちょっと山あいに入ってウグイスの声を聞いた。
春の喜びを歌っていた。

4月

1

桜吹雪を泳ぐ

桜がハラハラと散り出した。
散った桜の花びらが、風に吹かれ道の上を波のように流れていく。
上からは桜吹雪が降り注ぐ。
その中を自転車で走った。
流れの中を泳いでいるよう。
なぜか笑顔になる。

3月

23

骨が取れた

アジの開きを食べた。
細い骨が歯のあいだに挟まった。
外出先で気がついた。
舌で触るが取れない。
気になってしようがない。
なかなか取れない。
が、やっと取れた。

3月

19

踊る相方

僕が暗い顔をしていると、相方が踊り出す。
まったくバカな踊りを。
手をあげて腰を振って足踏みして踊る。
おかげで素に戻れます。
ありがとう。

3月

11

12年

あの日から、12年が経った。
この12年、日本は辛い日々を過ごしてきたように思う。
明るい予兆すら見えない。
それでも生きていく。

3月

7

Gジャン

暖かくなったのでGジャンで外に出た。
気温が肌に伝わってくる。
春はもうすぐ。

3月

2

歩く歩道

動く歩道と書こうとして、歩く歩道と書いてしまった。
馬鹿丸出し!

3月

1

手荷物二個

出張、帰りの飛行機は後部の廊下側。
搭乗するのに最後となった。
指定の席に着くと、すでに手荷物を入れる場所がない。
二個の手荷物を持って困ってしまった。
CAさんが「別の場所でもいいですか?」と言って探しにいってくれた。
すると近くにいた娘さんが「こちらどうぞ」という。
手荷物を一個、荷物入れから取り出して、飛行中持っていてくれるようだ。
ありがたい。
もう一個はCAさんが少し離れたところに入れてくれた。

2月

28

アラン島

四年くらい前に、大学の同級生から「アラン島」という本をもらった。
「これあげる」というので「なぜ?」と聞いたら、「時間を潰すために本屋で買ったけど、あまり面白くなかったのであげる。ぶーちゃん行ったんだろう」とのことだった。
作者はシング。
もらったことをすっかり忘れていたが、イェイツの本を読んでいたらこの作品の逸話が登場した。
「あれか」と思ってその本を本棚から出す。

2月

26

ひさしぶりの飛行機

曇り空の日、飛行機に乗った。
雲海を突き抜けて青空。
まぶしい太陽。

2月

23

コードレス

昔はキーボードもマウスもコードがついていた。
コードは邪魔でBlueToothで繋がったときはすごいと思った。
今ではそれが当たり前となり、コードレスのありがたみを感じなくなってしまった。
こうやってありがたい物事を次々と忘れていく罪深さよ。

2月

20

キンドルを持ち歩く

キンドルを買って一か月以上経った。
今では二十冊ほどの本が入っている。
僕は一度に何冊かの本を並行して読んでいく。
ちょっと外出するとき、時間ができたら何を読むのか、かつてはその日の気分によって選んでいく必要があった。
キンドルにするとその必要がない。
同時に読んでいる何冊かが全部手元にあるのだ。
外出先の気分で読む本を選ぶことができる。
もう手放せないな。

2月

17

生きている

世の中にはわからぬことがたくさんある。
たとえば、エクトプラズム。
結局あれがなんであったのか、誰も説明できない。
それ以上に謎なのが、自分が生きていることだ。
なぜ自分が生きているのか、「当たり前のこと」として片付けるしかない。

2月

16

夢中になる

何かやっていることに夢中になると時間を忘れる。
夢中になると約束事も忘れてしまうことがあるので、用心としてタイマーをかける。
用が特にないと夢中な時間がどこまでも続く。
食べもせず、運動もせず、それでからだを壊したのに、性懲りもない。
また今日も真夜中だ。

2月

13

白鳥の扉

二羽の白鳥が向かい合い、ハートの形を作っている写真を見たことがあるだろう。
あれとそっくりな扉の取っ手が、アイルランドのスライゴー郊外にある。
イェイツの墓があるドラムクリフ教会の扉。
その取っ手が向かい合った白鳥になっている。
白鳥の歌が聞こえてくる。

2月

12

幻想録

20年以上前、アイルランドに行った時、その前後に幻想録を読んだ。
イェイツの著作だ。
当時の僕には意味のわからぬところが何箇所もあった。
今でもわかったわけではないが、二月三日に「スライゴーのイェイツ像」を書いて以来、気になって手元に置いてある。
かつて冷たかった文章が、暖かく感じる。

2月

9

イニシュモア島の土

イニシュモア島は岩でできていて土がなかった。
だから、そこで農耕をする人たちは土から作る。
石を積んで四角く囲み、そこに島のまわりにある海藻を持ってくる。
堆肥のようにして土を作る。
土がないと命を育みにくい。
日本では当たり前にある土の価値を知らされた。

2月

7

堕ちた一円玉

パン屋さんでパンを買ったとき、小銭入れから一円玉が落ちた。
棚の下かどこかに隠れてしまい、探しても見つからなかった。
「一円だからいいや」と僕は思った。
すると会計カウンターの向こう側で対応してくれていた店員さんが「何か落ちましたね」という。
「はい、一円だからいいですよ」
「ああ、確かに一円の音でしたね」
そう言ってわざわざカウンターから出てきてくれた。
「ほうきで棚の下を掃くと出てくることがあります」と言ってほうきも持ってきてくれた。
棚の下を掃くと出てきた。
僕には諦められて堕ちてしまった一円玉。
店員さんのおかげでその価値を取り戻した。