9月

6

街角の三味線

散歩していたら三味線が聞こえてきた。
音階がはっきりしていて上手かった。
民家の連なる街角でピアノが聞こえたことはよくあった。
それも以前よりは少なくなったが、三味線が聞こえてくるのはかなり粋だ。

8月

18

雨音

テレビを消して、
雨の音を聴く。

8月

5

蝉の鳴き声

朝から蝉が鳴いている。
気持ちよさそうに。
窓を開けるだけで心地いい今日。
うだるような暑さが、雨のおかげでやわらいだ。
静かに音楽をかけ、蝉の声を聞いている。

7月

28

The Chicken

1982年にジャコ・パストリアスの演奏で有名になった曲。
オーレックス・ジャズ・フェスティバルで「Invitation」に続いて演奏された。
「Soul Intro」というジャコが作った前奏に続き、「The Chicken」のベースラインが現れると、もうそこで曲に引き込まれる。
この曲は当時あまり有名ではなかったと思う。
ジェームズ・ブラウンが1969年に発表した「The Popcorn」というアルバムに収録された曲だが、このアルバムにはJBの歌は入ってないそうだ。
JBのバンドが演奏したアルバムということらしい。
日本語ウィキペディアの「ジェームス・ブラウン」の項目に、この「The Popcorn」というアルバムは紹介されていない。
だから、あまりメジャーなアルバムではないのだと思う。
このときのJBバンドのリーダーがピー・ウィー・エリス。
エリスが「The Chicken」を作曲した。
そんな曲だから、当時のジャズファンの多くはライブで演奏されたこの曲を聞き「ジャコのオリジナル?」と思ったのではないか。
大学生の頃、LPだった「The Chicken」の収録されたジャコのライブアルバムをよく聞いた。
CDとして二度再販されたようだ。
「The Chicken」を含むこのアルバムは、フュージョンの名盤といっていいだろう。
いまではそのタイトルは「TWINS Ⅰ & Ⅱ ライブ・イン・ジャパン’82」となっとているが、僕が持っていたLPアルバムは二枚が別々で「オーレックス・ジャズ・フェスティバル TWINS Ⅰ」と「オーレックス・ジャズ・フェスティバル TWINS Ⅱ」だったと思う。

7月

2

1946年の映画音楽

アマゾンミュージックに「映画音楽大全集 1946 夜も昼も/センチメンタル・ジャーニー」というアルバムがあったので聞いてみた。
ジャズのスタンダード曲がたくさんあって、「これももとは映画音楽か」と驚く。

ホワイト・クリスマス
枯葉
エニシング・ゴーズ
あなたはしっかり私のもの(I’ve Got You Under My Skin)
夜も昼も(Night and day)
ビギン・ザ・ビギン
など

「あなたはしっかり私のもの」と「夜も昼も」はもっと古い曲だが、作曲者コール・ポーターの評伝映画「夜も昼も」がこの年に公開されたそうだ。
「エニシング・ゴーズ」も映画「夜も昼も」に登場したそうだが、これは「インディ−・ジョーンズ/魔宮の伝説」のオープニングで、無理矢理インディー・ジョーンズの冒険に付き合わされることになる上海のクラブ「オビ=ワン」の歌手ウィリー・スコットが歌っていた曲。
聞いてすぐに大きな鉄の円盤に隠れながら逃げるシーンを思い出した。

6月

10

時代遅れのRock’n’Roll Band

桑田佳祐、佐野元春、世良公則、Char、野口五郎が演奏する「時代遅れのRock’n’Roll Band」のビデオが公開された。
地味に大友康平も参加している。
伴奏には原由子とハマ・オカモトも入っている。
懐かしい雰囲気の曲だし、80年代の「あのメロディー」が韻を踏むように散りばめられている。
歌詞のように現実も動いていけばいいんだけどな。

6月

6

泣こうよ

このところ、50,60年台のマイルス・デイビスとか、ビル・エヴァンスとかばかり聞いている。
なんでだろう?と感じてみた。
悲しくないかい?
政治家はウソを吐き、相手側を攻撃ばかりして、自分の立場を正当化する。
自分の落ち度には目をつぶり、それだけならまだいいが、美しい物語に塗り替えてばらまいている。
それを信じないとやって行けない僕たちは、それを知らないこととして生きている。
その代償としての軍事侵攻やら、経済制裁やら、なんやらかんやら。
戦争中には派手で勢いのいい音楽が流行る。
戦後にその反動としてマイルスとか、ビル・エヴァンスの音楽が生まれた。
誰もそんなこと言いはしないけど、僕はそれで多くの人が戦時中の心の傷を癒していたように思う。
同じことをまたするの?
その前に、自分たちの愚かさ加減に泣こうよ。
戦争を放棄した兵士がいるそうだけど、僕は彼らを賞賛する。
怒る前に、泣こう。
殺すより、抱き合おう。

6月

2

トロンボーンの音

中学校のそばを自転車で走っていたら、トロンボーンの音が聞こえてきた。
金管楽器の音は吹く人によって微妙に異なる。
どの楽器もそうなんだろうけど、自分がトロンボーンをかつて吹いていたので、特にそれを感じる。
メロディーが上手とか、息継ぎがうまいとか、そんなことではない。
ボーッと吹かれたロングトーンがあまりにも美しかった。
そんなことを感じることは滅多にない。
楽器はもちろん、教室や校庭に奇麗に共鳴していた。

5月

31

I owe it all to you

シャーリー・バッシーの最後のアルバムが2020年10月に発売されたと聞いて探したが、日本では発売されていないようだ。
シャーリー・バッシーは存命だが85歳。
007の映画シリーズの主題歌を三曲歌っている。
「ゴールド・フィンガー」と「ダイヤモンドは永遠に」そして「「ムーンレイカー」。
「ゴールド・フィンガー」をはじめて聞いたのは僕が小学生の頃。
刺激的な声が印象に残った。
最後のアルバムのタイトルは「I owe it all to you」。
和訳すると「みんなあなたのおかげです」とでもなるだろうか。
ネットで探してアマゾンから楽曲のファイルをダウンロードして聞いた。
最後を意識しての選曲で泣かされた。
どの曲もシャーリー・バッシーの遺言に聞こえる。
2006年に引退宣言をし、2020年10月に亡くなったショーン・コネリーを思い出す。
収録曲のリストを以下に。
タイトルの和訳は歌詞を聞いて僕がした。
1.Overture 序曲
2.Who wants to live forever 誰が永遠に生きたいの?
3.I owe it all to you みんなあなたのおかげ
4.Almost like being in love 愛に包まれているようなもの
5.Maybe this time 今度はきっと
6.I made it through the rain つらいときも乗り越えた
7.Adagio アルビノーニのアダージョ(追悼式などによくかかる曲に詩をつけている)
8.Look but don’t touch 気にしていて、でもちょっかいは出さないで
9.Smile スマイル(チャップリンが「モダン・タイムス」のために作った曲)
10.You ain’t heard nothing yet まだ何も聞いてないのね
11.I don’t know what love is 愛が何かなんてわからない
12.Always on my mind 忘れたことなんてない
13.I was here ここにいて生きて愛した
14.Music 音楽よ、私を導いてくれてありがとう

5月

30

Feelgood01 

ある日、単純なメロディーを思いついた。
11年前の5月の昼過ぎ。
12小節の短いメロディー。
どうしてもそれを演奏したくなって、クローゼットの奥にあった鍵盤を取り出し、コンピューターに繋いでDTMで演奏した。
それを演奏しながら、この世界がすべてつながっていることを思う。
だとしたら、なぜ人はそれらを好悪を持って見つめるのだろう?
あらゆるものが、何かのために生まれた。
あらゆるものが、何かのためになっている。
どんな存在も請われてここに来た。
https://soundcloud.com/tsunabuchi-yoji/feelgood01

5月

22

コルトレーン

高校生の頃、ジャズについてほとんど何も知らなかった。
渡辺貞夫の演奏は好きだったけど、アドリブばかりの音楽の、何がいいのかわからなかった。
そこでものは試しにと、コルトレーンの名盤「My Favorite Things」を買って聞いた。
何がいいのかよくわからなかった。
しばらくのあいだ、棚にしまわれた。
大学生になってジャズピアノを習うことにした。
自分で演奏するようになって、はじめて「My Favorite Things」のひとつになった。
就職して、酒に酔うようになって、さらに好きになった。

5月

21

雨音

外では雨が降っている。
激しい雨のようで、ザーッという音が聞こえる。
いろんな雨音がある。
僕が好きなのはサーッという雨音。
森に降る心地よい雨。
雨粒が落ちる葉によって音色が変わる。
薄い葉、厚い葉、小さい葉、大きい葉、虫食いの葉、虫の卵がついた葉、鳥が雨宿りしている葉。
葉によって奏でる音が異なる。
それらが一斉に、壮大なシンフォニーを奏でる。
風が吹き、雨量が変わり、温度が変わると音も変わる。
何度聞いても飽きない音のタペストリー。

5月

19

Word of mouth

ジャコ・パストリアスがウェザー・リポートの活動を通して有名になり、そこを脱退して残した唯一のスタジオ・アルバム。
1曲目の「クライシス」は本当に混沌とした曲。
速いベーストラックだけを聞かされて、一流のミュージシャンたちがアドリブを重ねる。
それを適当に取り入れたりはずしたりして作られたという。
ジャコの好みに仕上がっているとはいえ、はじめて聞いたときにはめちゃくちゃとしか聞こえない。
しかし、何度か聞いているうちに「いいもの」に聞こえてくるから不思議。
その混沌な曲が終わって、最初に出てくるブラスとコーラスの美しい和音にしびれてしまう。
フレットレス・ベースの音色もさることながら、トゥーツ・シールマンスのハーモニカとスティール・ドラムの音色がこのアルバムの印象を決めている。
ときどき聞きたくなるアルバムの一枚。

5月

15

パッヘルベルのカノン

とても有名な曲だが、作曲の経緯は知られてないそうだ。
パッヘルベルはその作曲者の名前だが、バッハより前の人。
当時は人気があったそうだが、長い間忘れられていた。
それが1968年にパイヤール室内管弦楽団の演奏により有名となった。
コード進行をそのまま使ってロックにされたりもして、次第に広まっていった。
ジョージ・ウィンストンのアルバム「ディセンバー」に入っていたピアノソロをコピーして大学生の頃によく演奏した。
友人の結婚式で演奏したときは泣けた。
https://soundcloud.com/tsunabuchi-yoji/variations-of-canon-by

5月

13

あなたと夜と音楽と

No.04755に「Kind of Blue」のことを書いたら、ビル・エヴァンスが聞きたくなり、アマゾン・ミュージックでビル・エヴァンスばかり聞いている。
管楽器と共演している「あなたと夜と音楽と」がかかった。
こっちよりピアノトリオで演奏された「あなたと夜と音楽と」が好きなので、CDラックからアルバム「グリーン・ドルフィン・ストリート」を探してかける。
葉巻がどこかから香ってくる。

5月

4

Kind of Blue

マイルス・デイヴィスの名作アルバム。
特に1曲目の「So What」はジャズのかかるお店ではよく流れる。
このアルバムでモード奏法が完成したと言われている。
ビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーンが共演し、この二人がモード奏法を発展させていく。
これがかかるとウィスキーが飲みたくなる。

4月

13

湧き出す記憶

フランク・プウルセルのレコードがうちに一枚だけあった。
そこにFM東京の番組、ジェット・ストリームのテーマ曲になっていた「ミスター・ロンリー」が入っていた。
それが聞きたくてアマゾンミュージックでフランク・プウルセルのアルバムを聴いているが、タイトルがほぼすべてフランス語で書かれているので、英語タイトルで書かれているのは「あ、あの曲ね」と思えるが、多くは聞いてみてはじめて「あの曲か」とわかる。
ときどきかかるかつて聴いていた曲。
そういう曲がかかると、ずっと忘れていた懐かしいことを思い出す。
「Le Torrent」という曲がかかった。
聞いた途端、それは家のアルバムでは「急流」というタイトルの曲だったと思い出す。
一緒に、コーヒー豆の置かれていた戸棚が湧き出てきた。
あまり使わないサイフォンと、4種類の豆、そして電動コーヒーメーカー。
いろいろとブレンドしてみたが、好みはマンデリン5とモカ1だけだった。
半世紀も前のこと。

4月

6

「Serenata」の頭

クインシー・ジョーンズの「Big Band Bossa Nova」というアルバムをAmazone Musicで聴いていたら、「Serenata」という曲の頭でバストロンボーンの低音が響いた。
しびれてしまった。
何度か聞き直した。
かつて僕がバストロンボーンを吹いていたから。

3月

30

チューブラー・ベルズ50周年

1973年に発表された名作「チューブラー・ベルズ」が来年発表から50周年を迎える。
ロンドンではその記念コンサートがある。
まるでクラシック作品のような扱いだ。
20歳の青年がひとりで作ったアルバムがこんなに人気が出て、50周年の記念リサイタルまでやるなんて。
中学生だった僕が夢中になったのはなぜか、その理由はわからないけど、こんなにすごい曲だったんだなと思う。
ひさしぶりにまた聞いた。

3月

29

9980

いろんなアンビエント系のアルバムを聴いてきたけど、Conect.Ohmというユニットの「9980」というアルバムが最高に素敵。
何がどのようにいいのかはうまく言えない。
たいてい、こういう系のアルバムは一回聞くと飽きるんだけど、これは何回も聞いてしまう。
音と構成が凝っていて、変化が地味に抑えてあって、数寄に通じる。

3月

24

十分に中庸な速さで

プーランクのピアノ曲に「3つの常動曲」がある。
1曲目が「十分に中庸な速さで」、2曲目が「とても控えめな速さで」、そして3曲目が「機敏に」となっている。
この曲をはじめて聴いたのは2013年1月30日、プーランクが亡くなって50年目の命日だった。
その日にピアニストの鈴村真貴子さんがプーランクの曲だけのリサイタルを開いた。
鈴村さんは東京芸術大学大学院の博士号を得るのにプーランクのピアノ作品演奏法について論文を書き演奏した。
たった一度10年近く前に聞いた曲だったが、鈴村さんが昨年末にCDアルバム「フランシス・プーランクピアノ作品集Vol.1」を発表し、その1曲目が「3つの常動曲〜十分に中庸な速さで」だった。
ピアノリサイタルの情景を思い出した。
ステージ上に振りまかれた音の色彩。

1月

27

狼の遠吠え

ポール・ウィンターのライブを聞いたことがある。
地球環境に関する会議、グローバル・フォーラムの席上だった。
ポール・ウィンターは鯨の声を録音して、そのメロディーを元にアドリブしたりするサックス・プレイヤーだ。
彼の作品に「Wolf Eyes」という曲がある。
曲の冒頭に狼の遠吠えが入っている。
そして、それを受けて独特の深いメロディーが奏でられる。
命を愛おしむような、悲しげでもあり、喜びも含むような、深いメロディー。
ライブではその曲の最後に、こう語りかけられた「狼になって遠吠えをしましょう」。
会場のみんなが一斉に遠吠えをした。
なんか知らんけど、ゾクゾクしたし、泣けた。

1月

22

ガムランを聴く

大学生の頃、「題名のない音楽会」で小泉文夫がケチャを紹介していた。
世の中には不思議な音楽があるもんだなぁとそのCDを探して買おうとした。
ところが見つからず、同じバリ島の音楽ということで、ガムランのCDを買った。
うちに帰って聞くと、最初の音でゾーッと鳥肌が立った。
「なんだこの音楽は!」と思い、ラックにしまった。
「こんな気持ちの悪い音楽はもう聴かないだろう」と思っていたのだが、なぜかときどき聞きたくなる。
聞いてはゾッとしてまたしまう。
「いったい何をしているんだろう?」と思っていた。
このゾッとした感じが、ヌミノーゼだと理解するのは十年以上過ぎてから。
縁があり、そのガムラン楽団を率いていたプリカレラン家にホームステイさせてもらうようになってからだった。

1月

18

京都のお寺で聞いた読経

大学生の頃だっただろうか。
京都を旅行していたらあるお寺で読経が始まった。
どこのなんというお寺かも忘れてしまった。
だけどそこの読経が凄かった。
僧侶が数名で読経していたのだが、聞いたことのない和音になっていた。
それが読経の言葉とともにうねっていく。
楽譜にはしようがない微妙な和音の変化。
音楽のように心地よいのと同時に、底知れない畏怖を感じた。

1月

17

ブラバンの秘密

「聖なるもの」に向き合ったときの感覚をヌミノーゼといい、その感覚がしたときのことを思いだしているが、本当にこれもヌミノーゼと呼べるかどうかは判断が分かれるところだと思う。
でも、僕の感覚はそうだと伝えてくれているので、そのように扱う。
高校生の頃、僕はブラスバンドに入っていた。
そこで指揮をやらせてもらえることになった。
指揮をしていた先輩から、演奏会の直前にメンバーを集めて必ずこれを言うようにと、演奏会を成功させるための秘密の言葉を教えてもらった。
そのときの僕にはそれを言う理由がまったくわからなかった。
「そんなこと」としか思えなかった。
そこで文化祭の時、3回の演奏のうち1回を、わざとそれを伝えないで演奏をした。
すると何も間違いのない演奏だったが、ほとんど誰も感動しなかった。
きちんとそれを言うと、観客も演奏者も、とても感動する演奏会になった。
それを知って以来、僕はこの言葉を呪文と呼んでいる。
それはこんな言葉だ。
「これからする演奏はたった1度のものだ。同じお客様に聞いてもらうことはもうない。僕たちも同じコンディションでやることはもうないだろう。だから、いまの僕たちにできる最高の演奏にしよう」
これをいうとなぜかゾクッとした。
そして、その演奏にみんなが感動する。
うまいとか下手とか、そういう次元ではない何かが働いた。