道(タオ)に戻る
「黄金の華の秘密」を翻訳した
ヴィルヘルムが、こんな体験をした。
ヴィルヘルムが住んでいた
中国のある地方が旱魃になり、
村人が雨乞い師を呼んでくる。
しばらくしてしわくちゃな老人がやってきた。
その老人は静かな場所にある
小屋を貸してくれといい、
そこに三日間こもりました。
すると、四日目には曇ってきて
雪など降るはずがない季節に雪が降りました。
ヴィルヘルムはその雨乞い師に
どうすればそういうことができるのか聞きました。
「どうやって雪を降らせたのですか?」
「わしは雪など降らせていない」
「では、この三日間
何をしていたのですか?」
「それなら答えられる。
この土地はタオからはずれていた。
天の定めるしかるべきあり方から
はずれていたのじゃ。
わしもそんな土地に来たために
タオからはずれた。
だからその自然な秩序に戻るため
三日必要だったんじゃ。
自分がタオに戻ったから
おのずと雨が降ったんじゃよ」