イスラエル、パレスチナからのメッセージ

先日、ピース・キッズ・サッカー(PKS)でパーティーをおこなった。今年の夏のイベントも成功し、それの報告会を兼ねたような会合だった。前イスラエル駐日大使であるエリ・コーヘンご夫妻も出席してくださった。

ピース・キッズ・サッカーは毎年夏にイスラエルとパレスチナから子供たちを迎え、日本の子供たちと一緒に合宿してもらい、そのあいだにサッカーをはじめとする様々なプログラムに取り組んでもらうことで、イスラエルとパレスチナ、そして日本の懸け橋になろうとするものである。

このパーティーで今年の合宿に参加した子供たち(今年は対象が高校生だったので、子供というよりは青年に近い)から寄せられたエッセイが配布された。すべてを紹介するわけにはいかないが、いくつかの抜粋をここに掲載する。

プログラムを終えて、自分自身も成長したと思います。より心を開いて新しいことに挑戦し、新しい人と出会いたいという思いを強くしました。より野心的に、創造的になりました。そして何より、様々な新しい絆を得ることができたのです。プログラムの前は、床に紙やペットボトルが落ちていても、拾おうとは思いませんでした。今は、自分のまわりの環境に意識が芽生え、拾うようになりました。

キブツに戻りプログラムに参加する前とは変わった自分を実感しています。普段の生活自体を変えること、食事のことや食べ物を粗末にしないこと。伝統的な踊りを習うこと。キブツの大人たちはみんな私たちが日本に行ってイスラエルに帰ってくるまでのことを聞いてきます。写真を見せるように言われたり、何があってどう変わってきたのかを尋ねられます。もちろん私たちは、経験したこと全部をみんなに話しています。

日本の水環境のことや風景、伝統のことを話すとみんな感動しながら聞いてくれます。私はこのプログラムに期待をもって参加したこと、そして期待以上の成果をもって帰ってくることができたことを本当にうれしく思っています。

プログラムを終えて帰ってきてから、多くの変化を自分の中に発見しました。一つ目は自分が持っているものをよく見るよう、試みるようになったことです。そして自分に必要のないものを欲しがらなくなりました。二つ目は自然との関係です。自然を尊重し、できる限り守ることを心がけようと思いました。三つ目はそれに関連して、地球温暖化にも興味を持つようになりました。そして最後に、自分とは違う文化や考え方を持つ人たちを尊重することを学びました。もし私の周りのだれかがパレスチナ人を批判していたら、その人に対してすべてのパレスチナ人がそのような人ではないことを説明し、根拠もなくただ批判するのではなく、まずは相手を一人の人間として知ることから始めるよう、語っていきたいです。

私は、PKSのプログラムがこういうものだとは思わず、最初にプログラムに参加できると聞いたときは、「まあ、日本に行ってもいいかもね」という程度にしか考えていませんでした。私は、こんな風に出会った人たちのことを愛するようになるとは思っていませんでした。みなさんと16日間過ごし、さよならを言わなくてはいけないときににって子供にように泣いてしまいました。みなさんとプログラムのあともやりとりできてうれしいです。

私は、パレスチナをとても愛しています。そして、日本は私にとってずっと第二の祖国となり続けるでしょう。機会があれば、また日本に行きたいです。みなさんにも、是非パレスチナに来て欲しいです。(みなさんのうち何人かは本当に来るだろうと聞いて、とてもうれしいです) みなさんと、これからもずっとつながっていきたいです。

※ キブツ : イスラエルの集産主義的共同体。

PKSはすべてボランティアで運営されている。この活動に参加している誰も、PKSから利益を得ていない。そんな組織がこれだけのことを成し遂げると言うことが、そのお手伝いをさせてもらっている身としては大変うれしい。