トリチウム水を飲むとどうなるの?

2019年9月10日、環境相退任前日に原田義昭前環境相は「思い切って(海洋に)放出するほかに選択はない」と語った。放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を主張した。
処理水は今も毎日170トンずつ増え、現在計116万トンがタンク約千基に保管されている。東京電力は2022年夏ごろには満杯になり、原発の廃炉作業にも支障が出る恐れがあるとしている。国は有識者でつくる小委員会を設置し、気体にして大気中に放つ「水蒸気放出」や「地層への注入」なども選択肢に処分方法を話し合っているが、答えは出ていない。
メディアは風評被害のひとつというように問題を矮小化しようとしているが、それは果たして本当か? もしトリチウム水を飲んでしまったら、どうなるのか?

○なぜ政府は安全だというのか。
そもそもトリチウム水は、仕方なく放流するものだった。
原発によって産まれてしまい、取り除くことができないから。
それを安全だという理由は大まかにいってふたつ。

1.発生するのがβ線だからエネルギーが小さく紙1枚で遮蔽できる。
2.すでに世界中で排出している。

1.について
紙1枚で遮蔽できるというが、それはそもそも体内に入ることを考えていない。
『メチル水銀を水俣湾に流す』を著した水俣出身工学博士熊本大学名誉教授入口紀男先生は、FBにこう書いた。

私の体内で1秒間に100万回の崩壊(すなわち、体内に取り込んだトリチウム原子のうち、1秒間に 100万個がそれぞれエネルギー19,000 [eV] をもつベータ線(電子)を出しながらそれぞれヘリウム3に変わること)が起きるでしょう。この崩壊回数は広島原爆のセシウム137の 1億分の 1の崩壊回数と同じです。またこの崩壊は、私の約 50兆個の細胞のうち 1兆個の細胞の「中」で起きるでしょう。それはDNA等の遺伝子情報、修復情報等をもつ細胞内分子組織の「至近距離」または、DNA等の「中」で起きるでしょう。細胞内分子組織が全身のあちこちで破壊されると、私は数日以内には死にませんが、私の身体には発がんなどの様ざまな不具合が生じ、あるいは、結果的に死ぬかもしれません。未婚の男女は生殖細胞の破壊を子孫に残すかもしれません。

ここで、入口先生は「死ぬかもしれません」「生殖細胞の破壊を子孫に残すかもしれません」と言葉を濁しているが、これには理由がある。それは○問題の明確化に書く。

2.について
トリチウムの毒性と放流する量が問題になったとき、「世界中で流しているから平気」という論を掲げ流そうとしている。
原爆が生まれる前と生まれたあとで、環境内のトリチウムの濃度は劇的に変わったと言う。
世界中ですでにトリチウム水は大量に流されている。
添付資料「トリチウムの性質などについて(案)の最後のページ
所在場所 
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/008_02_02.pdf
これを見たら「もういい加減流すのをやめよう」と考えるのが普通の思考だが、日本では「すでにこれだけ流れているから平気」と考える。
薄い毒は責任の所在が明確にならないから平気ということだ。
しかし、似た論理で水俣病やイタイイタイ病が起きてしまった。日本は同じ轍をを踏まないように世界に発信していくべき立場にあるのではないか?

○問題の明確化
大きな問題点は、トリチウム水がどのような害を人間に及ぼすかが実験では不明な点。
入口先生の論はかなり現実的な、しかし推測の話。なぜなら、人間を使ってこのような実験は危険すぎてできないので科学的資料はないとされる。
しかも動物実験をいくら重ねても、トリチウムの危険性は経済効率と天秤にかけられて曖昧な結論しか得られないだろう。なぜそのように言うのかというと、すでに発がん性物質の確定をどのようにWHOがしているのか調べるとわかる。
発がん性物質の確定には、人間での発癌とその物質を摂取した関係が明らかでないと認定されない。(WHOの基準) つまり、動物実験だけでは発がん性物質とは認められないからだ。

ドイツでは原子力発電所周辺のがんと白血病の増加に関する調査、カナダでは重水炉というトリチウムを多く出すタイプのCANDU原子炉周辺の健康被害について調査さされ、カナダ・ピッカリング原発周辺では、トリチウムによってダウン症の発生率が85%上昇したことが知られている。しかし、これらの調査は無視されている。

これほどまでに問題の原発をまだ推進し、あたかも福島の人たちがかわいそうだからという偽りを述べ、トリチウム被害が福島の人たちに及ぶことを無視して、あえて流そうとする無責任な発言を看過することはできない。

細野豪志はそのブログにこんなことを書いた。
https://gamp.ameblo.jp/gohosono/entry-12540413324.html
——
処理水は台風の襲来などのトラブルで漏れ出るリスクに常に晒されている。今や、処理水の管理が現場の最大のプレッシャーとなっている。すでに相当深刻な状況まで追い込まれているのだ。

政治的にも、長期安定政権となった安倍政権でなければ処理水の解決はさらに難しいものになるだろう。決断の時は迫っている。
——

漏れ出る前に流そうって、もちろん処理したあとでということだろうが、どのような処理をするのか明確にできないのに、それを流すってどういうことだろう?

小柴昌俊さんと、マックスウエル賞受賞者の長谷川晃さんが、平成15年3月10日当時の総理大臣、小泉純一郎宛てに出した『嘆願書』がそんな在する。
「国際核融合実験装置(ITER)の誘致を見直して下さい」
内容は以下の通り。

核融合は、遠い将来のエネルギー源としては、重要な候補の一つではあります。しかし、ITERで行われるトリチウムを燃料とする核融合炉は、安全性と環境汚染性から見て、極めて危険なものであります。この結果、たとえ実験が成功しても、多量の放射性廃棄物を生み、却ってその公共受容性を否定する結果となる恐れが大きいからです。

燃料として装置の中に貯えられる、約2キログラムのトリチウムは、わずか1ミリグラムで致死量とされる猛毒で、200万人の殺傷能力があります。これが酸素と結合して重水となって流れ出すと、周囲に極めて危険な状態を生み出します。

ちなみに、このトリチウムのもつ放射線量は、チェルノブイリ原子炉の事故の時のそれに匹敵するものです。反応で発生する中性子は、核融合炉の10倍以上のエネルギーをもち、炉壁や建造物を大きく放射化し、4万トンあまりの放射性廃棄物を生み出します。実験終了後は、放射化された装置と建物はすぐ廃棄することができないため、数百年に亘り、雨ざらしのまま放置されます。この結果、周囲に放射化された地下水が浸透し、その面積は、放置された年限に比例して大きくなり、極めて大きな環境汚染を引き起こします。

以上の理由から、我々は、良識ある専門知識を持つ物理学者として、ITERの誘致には絶対に反対します。

平成15年3月10日            
小柴昌俊(ノーベル物理学者)
長谷川晃(マックスウエル賞受賞者)

このような事実を無視してまで、トリチウム水を流そうとするのは、経済優先の考え方によるものだろう。経済のために毒を流すのはいい加減やめるべきではないか? 

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