日本の即身佛 1

『日本の即身佛』(佐野文哉・内藤正敏共著 光風社書店刊 昭和44年発行)という本を読んでいる。とても面白いので覚書。少々残酷なのでそのような話が苦手な人は読まないこと。

ミイラというものは簡単にできるものだ。

ex.胎児のミイラ化現象がしばしば見られる。紙様胎児というものがある。双生児の一人が死亡し、水分が生児に吸い取られ、ついには組織まで吸収され押しつぶされ、一片の紙のごとくになって生児と一緒に排出される。

自然に出来るミイラは高温乾燥している場所で風通しの良い場合、または寒冷で乾燥した洞窟内などによくできる。

日本のような温暖多湿の国では自然にミイラはできにくい。しかし、明治以降でも数体の自然ミイラが発見されている。

ミイラとよく間違えられるのは屍蠟。屍体組織の化学変化によって出来る。屍体が水中、もしくは多湿な土中に置かれ、しかも空気の供給がほとんどないとできる。皮膚表面が蠟のように固まるので屍蠟と呼ばれる。

土中に埋葬されたものの、数十年、数百年して掘り出したら、皮膚もそのまま、内臓もそのまま、少しの腐敗もすることなく出てくることがたまにある。屍体が氷りづけにされるとそうなるが、それ以外にも起きる場合がある。これを軟体屍と呼ぶ。屍蠟でもなく、ミイラでもない永久保存屍体ということで法医学では「第三永久保存屍体」と呼ぶ。法医学の権威、古畑種基博士が命名した。

ミイラと言えばエジプトが有名だが、それ以外にも世界中にある。

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『昴』から『マカリイ』へ 谷村新司氏還暦 小説『昴』出版記念祝賀会

僕が大学生の頃、いまからもう25年も前、中国を旅行した。香港経由で広州に行き、桂林、西安、上海とまわった。そのときまだ香港は中国ではなかった。香港でビザを取ると安いと言われ、香港から入った。当時はまだ一般の日本人が中国を旅行できるようになって二年目だったため、中国の町で会う人々に日本人だというと珍しがられた。中国で何人かの香港人と仲良くなった。中国をまわって香港に戻り、知り合った人たちと再会してビクトリアピークに行った。景色を見ながら歩いていたとき、香港の人が「何か日本の歌を歌ってくれ」という。「なにがいい?」と聞くと「『昴』を歌ってくれ」という。もちろん『昴』は知っていたが、歌詞を所々覚えていなかった。するとその香港人は日本語がしゃべれないにもかかわらず、『昴』の歌詞をすらすらと思い出し、僕に教えてくれたのだ。そのとき音楽ってすごいなと思ったし、『昴』ってすごい歌なんだなと思った。

その『昴』ができて、今年で28年が経つそうだ。そして、作者の谷村新司氏は昨日還暦を迎えた。それを記念して、谷村新司氏は『昴』という小説を書き、還暦に合わせて出版し、その記念パーティーをおこなった。縁あって、そのパーティーに出席することができた。

パーティーの冒頭、司会の小倉智昭氏に名を呼ばれ、錚々たる面々が発起人代表として舞台に上がる。その人たちを背にして谷村新司氏は『昴』を歌った。それを聞きながら、僕はビクトリアピークとLOVE NOTESのことを思い出していた。

LOVE NOTESとは1996年、ベルギーで知り合った。国際イルカクジラ会議に出席した際、LOVE NOTESがその会議のテーマ曲「ALL AS ONE」を作っていた。その後いろいろあり、仲良くなったのだが、(詳しいことは拙著『あなた自身のストーリーを書く』に)リーダーのヒロ川島さんはよくプレアデスの話しをしていた。そして、これからは物質文明が終わり、心の時代がやってくるとも。僕にはプレアデスと心の時代にどういう関連があるのかわからなかった。だけど何か関連がありそうな雰囲気を感じた。彼らが作ったハワイアン・ミュージック「スピリット・オブ・アロハ」に「マカリイ」という言葉が出てくる。ハワイ語でプレアデス、つまり『昴』のことを指す。

パーティーの最後で谷村氏が歌ったのは新曲『マカリイ』だった。その歌は『昴』へのアンサー・ソングだという。『昴』が『マカリイ』を意味するなら、アンサーソングのタイトルとして『マカリイ』という言葉を使っても何も不思議がないだろうが、その歌の意味として谷村氏はこう言った。

「なぜ僕は『昴』の最後で『さらば昴よ』と言ったんだろう。それがずっと謎だったんですが、その答えとしてこの歌を作りました。『マカリイ』はハワイの言葉で『昴』を意味します。それと同時にハワイの古代航法で星を見ながら航海するとき、星を読む人のことも『マカリイ』というのです」

そこでうちに帰ってから「ハワイ語英語辞典」で「makali’i」を調べた。1996年にビショップミュージアムで買った辞書だ。そこには「2.n.Pleiades」と載っているが、航海士のことには触れてない。webで探したらあった。

「In tradition, Makali’i was a celebrated transpacific voyager and astronomer. He shared the Hawai’ian name for the star cluster Pleiades (Makali’i means “finely meshed netting”) and became the trusted navigator of the chief Hawai’iloa. 」

Hawai’iloaとはハワイを見つけたと言われる伝説の一族、またはその族長のこと。

一ヶ月ほど前、小説『昴』の編集者に本のことを聞いたとき、彼はこう答えた。「小説では物質文明から心の時代になることを示唆したいみたいよ」その言葉が心にあったからそう見えるのかもしれないが、新曲『マカリイ』の歌詞のこの部分にそれが込められている。

ヨーソロー、ヨーソロー

ココロ運んでゆく

永久(とこしえ)の愛のふところ

マカリイの星のもとへ(マカリイの星を越えて)

心を大切にしようと思う人たちがなぜ『昴=プレアデス=マカリイ』を象徴として使うのか、その理由がわからない。占星術にプレアデスの意味として「心」があるのだろうか?

誰か知っていたら教えて欲しい。

パーティーでいただいた小説『昴』をこれから読む。答えがそこにあるだろうか?

後日、LOVE NOTESのリーダー、ヒロ川島氏にメールした。その返信がこちらに。

小説『昴』の感想はこちら。

歌詞に登場する「ヨーソロー」の意味はこちらに。