笹久保伸個展『秩父前衛派』

笹久保伸さんの個展、『秩父前衛派』のオープニングレセプションに参加した。

笹久保さんは、以前秩父で講演させていただいたとき、一緒に講演者としていらしていて知り合った。そこで話を聞かなかったら、たぶん笹久保さんの作品の意味がわからなかっただろう。そもそもアートは、その背景に流れる物語を知らなくても楽しめるものだが、笹久保さんの作品はその背景に何があるのかを知ることで、作品の意味や姿が変わってくる。まずはこのページにある写真や映像をご覧になってから、文章を読んでみて下さい。読む前とあととで、あなたにとって何が変わるでしょう?

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貧乏な人とは、いくらあっても満足しない人

昨晩、Mr.サンデーというニュースショーでムヒカ元ウルグアイ大統領のインタビューが流れた。ムヒカ氏の存在に感激して泣けてしまった。2012年6月のリオ会議では素晴らしいスピーチをしていたことをネットで知った。なんでこんな素晴らしいスピーチがマスメディアに流れないのかと思っていたが、しばらくしたらぽつりぽつりと流れるようになった。

僕は知らなかったが、Mr.サンデーではすでに一度ムヒカ氏のことを取り上げていたそうだが、それは見ていなかった。今から見られるものなら見てみたい。

あのようなインタビューをわざわざウルグアイまで撮りに行った番組スタッフにお礼をいいたい。あの感動的な演説を成し遂げたムヒカ氏の心の片隅に、日本人の生活が刻まれていたそうだ。

『愛するということ』などで知られるエーリッヒ・フロムも、haveとbeの文化についての概念を生み出した際に例として考えたのは日本の俳句だったし、鈴木大拙の影響も受けていた。かつての日本の文化がどれだけ素晴らしかったのかがうかがえる。

なぜか僕はそのような、かつての日本の魂を引き継いでいるような話に心が震える。そしてそれは日本だけではなく、どこの世界にもかつてはあった話なのだろうと思う。

小学一年か二年の頃、母が絵本を買ってくれた。確か『小さな王様の大きな夢』というタイトルだった。僕はこの絵本をきっと、二、三回しか読んでいない。だけどはっきり覚えている。この本を読むと泣けてしまったのだ。二度読んでも三度読んでも泣けるので、もう読まなくなった。それでもその話をほとんど覚えている。この話が、ムヒカ元大統領の話とどこかでつながっている。こんな話だ。
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西郷南洲遺訓

毎朝書いている『日刊 気持ちいいもの』を、昨日は休み、今日は昼過ぎに出した。こう書いた。

チャンス
特定秘密保護法が施行され、
集団的自衛権の行使容認がなされた。
武器の輸出も可能になってしまった。
もうすぐ戦争になってしまう。
何年後かは知らないが、
このまま物事が進んでいくと
いつか戦争に巻き込まれてしまう。
そのことを自覚して
いろんなことを学ばなければならない。
目を背けていると逃げられなくなる。
多くの人がそのことに気づけば、
そのときはじめて
自立した日本になれるかもしれない。
国家vs国家で物事を考えていると
ミスリードされる。
この好機に目覚める人が
増えることを念ずる。
垂れ流される情報を鵜呑みにするのではなく、
正しい情報を探し求めよ。

『日刊 気持ちいいもの』だから、気持ちいいものを書かなければならないが、あまり気持ちいい話とは思えないが、書くべきだなと思って書いた。
そして最後の一行を書いて、続いてどう正しい情報を得るべきかを書こうとしたが、やめた。
僕自身、正しい情報を得られているのかどうかはっきりしないから。
最近、ネット上では、いろんなことが書かれている。それらの内容は、まったくでたらめのものもあるし、ある側面では正しいものもある。どんなに正しく思える文章でも、すべてが正しいかどうかは僕自身判断できないものがある。そしてそれを起点にして物事を考えたりもする。
僕はあれを知っている、これを知っていると、正しいと思われることをここに書くが、どうあがいてもそれは真理の一面でしかない。誰でも自由に表現ができるのはとてもいいことだが、多くの場合、それは真理の全体を表現することはできないし、僕の文章もそのようなものでしかない。

たとえば、安倍総理がめちゃくちゃなことをしているとここに書いたとする。あんなことした、こんなことした、だからどうにかしろと。しかし、あまりそれには意味がない。書きたい欲望はあるのだが、我慢している。それも真理の一面でしかないと僕は思うから。

ここからしばらく空想を書く。なんの根拠もないことだ。ただ、こういう見方もできるということ。

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