武器輸出三原則の緩和

防衛に関してはまったくの素人ですが、このニュースはとても気になる。

「政府・与党、武器輸出三原則の緩和検討 共同開発・生産を容認」(日経新聞へのリンクがありました)

これに対してメディアは何を発信するのか。

自衛戦力を上げるためには共同開発は仕方ないのかもしれない。しかし、武器を輸出するのはやめた方がいいと思う。共同開発国には提供せざるを得ないというのもわかるが、日本が作ったものが戦争に使われるのは非常に不安だ。しかも、これを容認するとなると言論の自由とのバランスをどう取るのかが、いつか問題になるだろう。政府は秘密を持たなくてはならなくなり、メディアはそれを伝えられなくなり、その範囲は次第に広がっていく。伝えられることと伝えられないこととをどこで線引きするのか、あらかじめ決めずに事実だけが先に走ると、あとで止められなくなるだろう。結果として箝口令が敷かれたような状態になる。

もしこれが通れば現実問題として、諜報機関も必要になってくるだろう。もしないと情報戦で不利な立場に立たされ続けることになる。そんな国が武器を輸出できるのか? 裏の情報がいままでの何倍にもなるんだろうな。そして、このような恐怖感が、いろいろなことを暴走させるのだろう。この先、一般国民にすごくわかりやすい理由ばかり告げられるようになったら注意しなければならない。

これを止めるためには与党を倒すしかない。なぜいま自民・公明に逆風が吹きそうなことを仕掛けるんだろう? 理由を知っている人は教えて欲しい。武器輸出三原則が緩和されることで、確実に景気が上がり、得する人たちがたくさんいるのだろうか? 景気がよくなれば、人を殺す道具を作って輸出してもいいって政府は考えているの?

吃驚

びっくりすることを吃驚(きっきょう)というが、そんな言葉はほとんど聞いたことがなかった。ところが最近の高校生はPCを使って書く文章にやたらと「吃驚」を使う。なぜかというと「びっくり」と入力して変換させると「吃驚」が出てくるからだ。それこそ「吃驚」!

広辞苑の第五版には「びっくり」で引くと(当て字で「吃驚」「喫驚」と書く)とある。一部の作家が、文章にあるニュアンスを持たせたいときに「吃驚」と書いたのだろう。しかし、その際にはルビがふられたと思う。先日読んだ開高健の「最後の晩餐」にも「吃驚」に「びっくり」とルビがふられて登場していた。そのようなことを知らない高校生や、ひょっとしたら小中学校生が、パソコンを使うことで、たくさんの普通には使わない漢字を、これが正しいとばかりに使うのは如何なものだろう?

奇しくも昨日、漢字検定の前理事長親子が逮捕されたが、文藝春秋の二、三ヶ月前の号に、漢字検定がいかにばかばかしいことであるかが詳細に書かれていた。書いたのは中国文学者の高島俊男氏。出題者が漢字の意味と文脈を理解せずに作った問題がいくつかあるのだそうだ。

たとえば、「列車が”方に”出発するところだった」。この「方」をなんと読むかという問題。漢文では文脈によって「まさに」と読ませることがあるのだそうだ。しかし、口語文に「方」が登場して読める人がどれだけいるのか。ほかにも「諱」という字の読み方を問題にしていた。単独でなんと読むかというならまだしも、前後に添えられた文が間違っていた。「法師、”諱”は玄奘という」。玄奘は法名で諱(いみな)は現代風に言えば本名だから、玄奘が諱であるはずがないのに、そのように読ませていたという。

かつて当用漢字というものがあった。あの頃は漢字の数を減らすためにそれを決めた。ところが常用漢字の時代となり、漢字は使えるものはなんでも使って良いと言うことになった。そこで問題なのは、一度破棄した微妙なニュアンスや意味が再生できないことだ。そのニュアンスや意味を無視して漢字問題が作られる。そこに拍車をかけたのがワープロの存在。ひらがなを打ち込めば漢字がガンガンと吐き出されてくる。その吐き出されてくる漢字を無批判に使ってしまう。今日も学生の文の中に「調度いい」という言葉が出てきた。丁度いい例だ。

ウィキペディアによると、高島俊男氏はやまとことばに漢字を当てるのは適さないと書いているそうだ。やまとことばに漢字が入ってきてしまったために、日本語が正しい発達をしなかったというのが氏の主張だという。漢字について、日本語について、あまり詳しくはないのだが、少しは勉強してみたい。日本人が日本語について考えずに、誰が考えるのか、と思う。

「吃驚」は、使うべきかどうかを考えた上で、覚悟を持って使いたい。普段普通に使うのは「びっくり」がいい。でもきっと、若い人たちは不思議な漢字を使うだろう。それが面白く感じられるのであれば。「面白い」と「正しい」では、いまのところ「面白い」が優勢だ。

鶴の舞@氷川台

練馬区氷川台の氷川神社では、三年に一回、鶴の舞が奉納される。春のお祭りなので、もうひと月がたってしまったが、書いておきます。

氷川台の理髪店「男爵」に通い始めたのは、僕が高校一年の時でした。なので、もう30年も通い続けています。そこのご主人が氷川神社「鶴の舞」の踊り手でした。何度か見に行こうとしたのですが、なかなか時間が合わずに見られませんでした。今回、最後の舞となると聞き、予定をキャンセルして見に行きました。

氷川台駅から高稲荷公園方面に歩いていくと、途中に「おはま井戸」という石碑があります。以前にはそのそばに実際に井戸があったそうですが、いまは広場と石碑が残されています。氷川神社からその「おはま井戸」の広場まで御神輿を担ぎ、大行列で向かいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真の真ん中で高い帽子のようなものを被っている子が、鶴の頭を運んでいきます。雄と雌の鶴の頭があるのですが、雄は男の子が、雌は女の子がかぶって運んでいきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

おはま井戸に着くと、まず祝詞が奏上され、獅子舞が舞われます。

 

 

 

 

 

 

獅子頭。

 

 

 

 

 

 

鶴の舞は雌雄の鶴の求愛の踊りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

互いにつかず離れず踊り合い、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に愛を成就させて終わります。

 

 

 

ほのぼのとしたいい祭です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「男爵」のご主人が書いたBlogはこちらに。

2012年の鶴の舞の様子はこちら。