映画「MINAMATA」ってどう?

週刊金曜日の2021年9月17日号に「映画『MINAMATA』から消された人物が語るユージン・スミス」という記事を書きました。7ページの扱いです。

それを書くために映画『MINAMATA』の試写会に行き、ユージン・スミスの写真集『MINAMATA』を見て、インタビューした石川武志さんの作品集も見ました。すると、いろいろと映画『MINAMATA』の問題点がわかってきました。それぞれの写真集に添付されていた年表を丁寧に見ていくとそれがわかります。

これ以降はネタバレがありますので、嫌な方は読まないでください。

映画としてはよくできていると思います。ユージン・スミスの写真集『MINAMATA』を読み込んで映画を見ると、とても引き込まれます。写真集の作品が動画になっていたりします。この部分は写真集を前もって見ていない人にはわからないでしょう。ユージンの『MINAMATA』以外の写真集からも引用されているので、ユージンの写真をよく見てから映画を見ると、感動の度合いが違うと思います。

制作チームが訴えたいポイントもはっきり表現されていて、それはフィクションを見るという点では、いいことだと思います。しかし、この映画はノンフィクション的に作られていますので、映画で見せられたことがすべて事実かというと、かなり違う点があるので要注意です。

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地球交響曲(ガイアシンフォニー)について その1

1993年、京都でグローバル・フォーラムという会議がおこなわれた。
グローバル・フォーラムはそのとき3回目の開催で、1回目が1988年4月にイギリスのオックスフォード大学でおこなわれた。
東京でグローバル・フォーラムの事務局をしていた人と知り合い、その写真を見せてもらった。
ゴルバチョフ、マザーテレサ、ダライラマ法王、カール・セーガンなど、見知った顔が並んでいた。世界中の政治、宗教、文化、科学の代表格といえるような人たちが一堂に会し、地球環境についての話し合いをする機会だという。その企画を実現した人は国連の元職員で松村昭雄さん。そんな会議が当時おこなわれていたということを僕は知らなかったので「こんなすごいことする人に一度会ってみたい」とつい言った。
1989年の夏だったと思う。僕の会社のデスクに電話がかかってた来た。受話器を取ると「松村です」という。
「どちらの松村様でしょうか?」
「グローバル・フォーラムの松村です」といわれて、びっくりした。
「日本にいらっしゃるのですか?」
「いまニューオータニにいます。少々ご相談したいことがありまして、お目にかかることはできますか?」
その晩、ニューオータニで会った。そして、京都でおこなわれるグローバル・フォーラムを手伝ってほしいと言われる。

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