尊重すること
昨日、MITにいるネリ・オックスマンのドキュメンタリーについて書いた。
そこには書かなかった大事なことがある。
それは、彼女がチームを作るとき、そこに参加している人や結果を尊重することだ。
ネリは医学を学び、建築を学ぶ。
なぜそんなことをしたのか。
医学を学んでいたとき、祖母を助けたかったら。
祖母が亡くなり、彼女にとって医学を学ぶ必要がなくなってしまった。
そこで専攻を建築にする。
医学で学んだ知識を、建築に応用することで、他の誰にも作ることのできない何かを生み出し始める。
それはひとつやふたつではない。
それを始めると、一般には受け入れられなかったような変人が集まり始める。
一般社会からはこぼれ落ちてしまうような、オタクのような人材。
そういう人を集めて、その人でなければできないようなミッションを一緒に作る。
そのようなミッションは思った通りにうまくいく訳ではない。
失敗としか思えないような結果も出てくる。
彼女はその結果を上手に生かす。
だから、思いもよらない創作物ができていく。
強力な接着剤を作ろうとして、失敗した接着剤をポストイットにしてしまうように。
失敗を失敗と見るのではなく、自然の営みとして見る。
そう見ることではじめて、そこに宿る美しさが見えてくる。