2月

16

夢中になる

何かやっていることに夢中になると時間を忘れる。
夢中になると約束事も忘れてしまうことがあるので、用心としてタイマーをかける。
用が特にないと夢中な時間がどこまでも続く。
食べもせず、運動もせず、それでからだを壊したのに、性懲りもない。
また今日も真夜中だ。

2月

13

白鳥の扉

二羽の白鳥が向かい合い、ハートの形を作っている写真を見たことがあるだろう。
あれとそっくりな扉の取っ手が、アイルランドのスライゴー郊外にある。
イェイツの墓があるドラムクリフ教会の扉。
その取っ手が向かい合った白鳥になっている。
白鳥の歌が聞こえてくる。

2月

12

幻想録

20年以上前、アイルランドに行った時、その前後に幻想録を読んだ。
イェイツの著作だ。
当時の僕には意味のわからぬところが何箇所もあった。
今でもわかったわけではないが、二月三日に「スライゴーのイェイツ像」を書いて以来、気になって手元に置いてある。
かつて冷たかった文章が、暖かく感じる。

2月

9

イニシュモア島の土

イニシュモア島は岩でできていて土がなかった。
だから、そこで農耕をする人たちは土から作る。
石を積んで四角く囲み、そこに島のまわりにある海藻を持ってくる。
堆肥のようにして土を作る。
土がないと命を育みにくい。
日本では当たり前にある土の価値を知らされた。

2月

7

堕ちた一円玉

パン屋さんでパンを買ったとき、小銭入れから一円玉が落ちた。
棚の下かどこかに隠れてしまい、探しても見つからなかった。
「一円だからいいや」と僕は思った。
すると会計カウンターの向こう側で対応してくれていた店員さんが「何か落ちましたね」という。
「はい、一円だからいいですよ」
「ああ、確かに一円の音でしたね」
そう言ってわざわざカウンターから出てきてくれた。
「ほうきで棚の下を掃くと出てくることがあります」と言ってほうきも持ってきてくれた。
棚の下を掃くと出てきた。
僕には諦められて堕ちてしまった一円玉。
店員さんのおかげでその価値を取り戻した。

1月

28

昼間でも聴ける深夜放送 “KombuRadio”

らうすこんぶさんはニューヨークに20年近く在住し、ライターと日本語教師をしていました。
コロナの件で帰国し、今もニューヨークの生徒たちとZOOMでやり取りをしているそうです。
そんなこんぶさんが始めたYouTube上のラジオ放送。
それが「昼間でも聴ける深夜放送 “KombuRadio”」。
ニューヨークでの体験や「言葉」「農業」「これからの生き方」などをテーマにしてオンエア中。
「詩や言葉についてお話ししましょう」と誘われて出演してきました。
「Vol.123 子供時代、どんな本を読んでいましたか。」と
https://youtu.be/mPdhL5q3T6I
「Vol.124 詩が生まれるのはどんな時ですか そして生まれたのはこんな詩です」
https://youtu.be/fjonunrBojw
に出てきました。
Vol.123ではうるうるしてしまうし、Vol.124では詩を朗読して、恥ずかしいけど楽しい体験でした。
Vol.123は、こんぶラジオの再生回数トップ5入りを果たしました。

1位
#78 吉田拓郎さんありがとう。音楽活動を引退する吉田拓郎さんに感謝を込めて
https://youtu.be/ApA7c10WNXE

2位
#11 寺山修司、浅川マキ、椎名林檎、フォーリーブスの共通点 ことば:創意と工夫
https://youtu.be/CBRDihY0a-U

3位
#71 奥田民生の歌の歌詞がとてもいいのでご紹介したいです
https://youtu.be/khHfXpHSqeA

4位
Vol.123 子供時代、どんな本を読んでいましたか。
https://youtu.be/mPdhL5q3T6I

5位
#53 神宮外苑再開発計画をご存知ですか? このままでは樹齢100年の樹木が1000本切り倒されます ゲスト:ロッシェル ・カップさん
https://youtu.be/7gD7ea52OUM

ほかにも楽しい番組があるので、お時間があるときにご覧ください。
https://www.youtube.com/@komburadio9745/videos

1月

24

100頭のイルカ

クジラに続き、今度は100頭近いイルカが東京湾に来たそうだ。
イルカはセラピーに使われたりもする。
彼らはとても頭が良い。
そのあり方は人の人生をも変える時がある。
リチャード・オバリーもイルカによって人生を変えられた一人と言えるだろう。
映画「ザ・コーヴ」では、日本のイルカ猟を批判しているとバッシングされたが、彼は世界中どこでもイルカが酷い目に遭っているとやめさせようとする人なのだ。
なぜそのような人になったのかは『イルカがほほ笑む日」という本に詳しく書かれている。
イルカと一緒にいると、つい彼らの味方になりたくなる。
なぜなら彼らは、機嫌が良ければ、ダンスを踊るように僕たちの泳ぎに合わせてくれるから。
イルカたちが何をしに来たのか、僕には本当のところはわからないが、わかってあげたいという気にさせられる。

1月

22

泥炭(ピート)

「イニシェリン島の精霊」でアイルランドを思い出すと、泥炭のことも思い出した。
アイルランドをバスで移動したが、何もない土地が続いた。
そういう土地の多くでは、短い草が生えてはそれが冷やされて、泥炭ができるのだそうだ。
泥炭は、ピートとも呼ばれる。
ウィスキー好きは「ああ、あれね」と思うだろう。
あれがたくさんある土地が続く。
なのでピートの香りが効いたウィスキーを飲むと、アイルランドの荒涼とした風景を思い出す。
少し傾いた頼りない電柱に、ゆるく張られた電線が風に揺れていた。
泥炭を燃料に使っている家からは、先端が四角い、独特の形状をした煙突が突き出ていた。

1月

21

イニシュモア島

「イニシェリン島の精霊」という映画が1月27日に公開される。
その予告編を見た。
実際に映画の撮影に使われている島の名前はイニシュモア島だ。
イニシュモア、イニシュマーン、イニシィアの三島をアラン諸島と呼ぶ。
アランセーターの起源となった島々だ。
そこに20年ほど前に仕事で行った。
「イニシェリン島の精霊」の予告編に一瞬、ダン・エンガスと呼ばれる石でできた砦が映る。
懐かしかった。
その島にはヤコブの梯子と呼ばれる坂があり、その坂の下にキロン修道院跡がある。
その脇にキロンの泉がある。
腕が入れられる程度の小さな穴で、そこに腕を入れて手を伸ばすと、泉に触れることができる。
その泉では年に一度九月九日に「太陽の祭」がおこなわれる。
島の人たちが集まり、泉の周りを七回まわって泉の水を顔につけ、願掛けをするのだとか。
重陽の節句を思い出す。

1月

20

ぐっすり

入院して以来、ぐっすり寝るようになった。
ぐっすり寝すぎて朝起きるとフラフラすることもあり。
それでいいのだ。

1月

16

詩を書く

生まれてこのかた、詩は六編しか書いたことがない。
そのうち三編は「水のきらめき」で読むことができる。
二篇は知り合いの結婚を祝うための詩で、二編とも披露宴で朗読した。
二編のうち一編は拙著『ヒーリング・ライティング』に、カップルの許可をとって掲載した。
残りの一編は、小学二年の時、練馬区の文集のトップに掲載してもらった。
小学二年の時の詩と『ヒーリング・ライティング』に掲載した詩以外は、瞬時のインスピレーションで生まれた。
ある状況にいることで、ピカッと何かに打たれる。
その打たれた内容を言語化すると詩になる。
滅多にない体験だが、詩が生まれる瞬間を体験するのは嬉しい。

1月

14

華厳経入法界品

ずっと華厳経の現代語訳を読みたいと思っていた。
国書刊行会から出版されている華厳経の全訳は分厚い上下巻で四万七千円もする。
非常に長いお経で、いきなりそれを買って読んでも歯が立ちそうにないと思い、解説本などを読んできた。
一昨年、華厳経入法界品の全訳が岩波文庫から三巻本として出されていた。
一年以上知らずにいた。
見つけてすぐに買った。
それは華厳経の最後の部分のサンスクリットからの翻訳だ。
国書刊行会のものは漢訳からの和訳。
華厳経の原本と言われるものは三種類あり、そのどれにもこの「入法界品」が入っている。
つまり華厳経の肝といってもいいだろう。
入法界品は国書刊行会が出した華厳経全訳の終わり三分の一ほどらしい。
届いてすぐに文庫三巻それぞれについている解説部分を読んだ。
期待に胸が膨らみ、鼻息が荒くなっている。

1月

12

お風呂で読書

湯船に浸かって本を読むのが好き。
時間をかけて温まって、じわっと汗をかく。
時々居眠りするので、本が湯船に落ちないように、お風呂の蓋の上におく。

1月

8

忘れたこと

世の中は素晴らしいものにあふれている。
年をとるとそのことを忘れてしまう。
なんでも「当たり前」と見てしまう。

1月

5

夢を見る

夜寝て見る夢は不思議。
あらゆることが繋がっている。

1月

3

写真を撮ってもらう

あるホテルの入り口に、大きなお正月のお供えと立派な花が生けてあったので、それを背景に相方の写真を撮った。
交代に相方に写真を撮ってもらったら、見知らぬ少女が「お二人の写真を撮りましょうか?」と言ってくれた。
スマホを渡して二人一緒の写真を撮ってもらった。
ありがとう。
少女の善意がいろんなところに巡っていきますように。

1月

2

デイリープランナー

一昨年10月くらいに、2022年用の手帳を買った。
一年ほとんど仕事をしなかったので、見事に空白だらけ。
今年のデイリープランナーはどうなるのかな?
年末にあわてて買った。
書き込んでいくのが楽しみ。

12月

17

立て直す

このところ世知辛いことばかりで、つい心がささくれ立ち気味。
自分の内側にその兆候が見えてきた。
例えば、このところ外を歩いたり自転車で走っていたりすると、道をゆずったり譲られたりしたことが多くなってきていて、それはいいなと思ったいたが、一方で、時々、誰かに道を譲ったりすると「早くしろ」と怒鳴られることもあるようになってきた。
そんなとき、ついイラッとしてしまう。
ほかに例えば、CFでベートーベンの七番交響曲の替え歌が流されているが、かつてカラヤンとベルリンフィルの演奏を大枚叩いて聞きに行った曲。
「あの思い出の曲をこんなことに使うなんて」とイラッとする。
笑って済ませばいいだけなのに。
そういう自分を顧みて、立て直す。
多くの人に素敵なことが起きますように。
もちろん僕にも。

12月

16

自転車のタイヤに空気を入れる

自転車のタイヤから空気が抜けるとペダルが重くなる。
空気を入れ直すと、それまで力を入れて漕いでいたのが、急に軽くなる。
スイスイ。

12月

15

芯から暖まる

このところ寒くなってきた。
暖房器具によって暖かさの感じ方が違うのはなぜだろうか?
体が芯から暖まるとそでや首が少し出ているくらいはなんともないが、表面だけ暑いだけだとすぐに寒くなる。
いつも芯から温まっていたい。

11月

29

区切りをつける

はじめがあったことはすべて、終わりがある。
どんな動物も種の滅亡の時が来る。
唯一終わらないのは、環境に合わせて変化していくもの。
だから、どんなことも変化しない限り終わるものは終わる。
終わるなら、感謝とともに区切りを付けてさっぱりしたほうがいい。

11月

28

書く

あるテーマについて考え続けていると、しだいに考えたことが自分にとって当たり前になってしまって、その前提で考えたことばかりが思い浮かぶようになる。
そうすると、なぜそのようなことを考えたたのか、その理由が抜けてしまって、他人に説明するときに困る。
なので考えたことはこまめに書くようにしている。
そうすると、なぜそのように考えたのかがきちんと残るので、他人に説明するときに便利だ。
膨大な文献のどこに書かれていたのかなんて、ほぼ忘れる。
こっちの文献のこの話と、あの文献のあの話を組み合わせて考えると、このように考えることができるなんて話は、再現が難しいことがある。
そんなとき、書いてあると便利だ。

11月

16

薄命リスク

かつてCAだった友人とメッセージのやりとりをしていて「薄命リスク」という言葉が出てきた。
「こんなに忙しいと薄命リスクが高くなる」というのだ。
普通なら「こんなに忙しいと死亡リスクが高くなる」というべきところだ。
暗に自分が美人であることをアピールしている。
笑った。

11月

13

上井草駅

上井草の洋食店に四十数年ぶりに行った。
店内にラグビーのユニフォームが飾ってあった。
以前はそのようなものはなかった。
調べると、早稲田大学ラグビー蹴球部のグラウンドが2002年に上井草に移転したのだ。
別の時にグラウンド前を通りかかると、練習をたくさんの人が眺めていた。
駅の雰囲気が変わった理由がわかった気がした。

11月

11

聖母病院大聖堂前のベンチ

以前、臼田夜半さんが、新宿区中落合にある聖母病院大聖堂で講演をなさった。
それを聞きに行ったとき、大聖堂前にあるベンチでお話しをした。
つい数日前に自転車で病院前を通りかかったので、あのベンチがまだあるのか見に行った。
駐車場を通り入っていくと、大聖堂前にはあのベンチがあった。
自転車で走って疲れていたので降りて座ることにした。
降りるときによろけて、倒れ込むように座った。
秋の風が吹く。
しわがれた臼田さんの声を思い出す。